椎茸栽培に必要なもの |
原木 |
クヌギ、コナラ 、ミズナラ、アベマキ、シデ類など |
種菌 |
発生の目的に適した品種 |
資材、器具 |
電気ドリル、椎茸錐、菌栓(オガ菌の場合)、他 |
場所 |
雨が当たり、直射日光の当たらない場所 |
季節の作業 |
原木の調達 |
10月〜2月頃の樹木の生長停止期間中に伐採 |
椎茸栽培に使用される原木は、主にクヌギとコナラです。クヌギは、コナラに比べて大型で厚肉の椎茸が発生しやすいのですが、乾燥しやすく雑菌が付きやすい欠点があり、どちらかといえばプロの栽培農家向きの原木です。これに対し、コナラはホダ木作りが容易で、自家用栽培には最適の原木です。
【コナラの木肌について】
サクラ肌:色や皮目がサクラの木肌に似ている。樹皮は薄い
オニ肌:樹皮が厚くて立てに不規則な割れ目が多く、クヌギに似る。
岩肌:樹皮は固くて厚く、表面の割れ目も少ない。 |
植菌 |
2月〜4月頃 |
種菌メーカーのカタログを見ると数種類以上の品種が紹介されていますが、自家用栽培では自然発生向きの(中低温生)品種を使用すると良いでしょう。もし、浸水操作のできる環境があり、夏栽培にもチャレンジしてみたいのなら、周年型あるいは中高温生と表示された品種を使用してください。
種菌にはオガ菌と駒菌とがあり、植菌方法や使用する資材等が違ってきます。オガ菌は、原木に専用の錐で直径15ミリ(または12ミリ)の植菌穴を明け、種菌を詰めて菌栓をします。駒菌は種菌メーカー指定サイズの植菌穴(直径8〜10ミリ)を明け、槌で打ち込みます。菌栓は要りません。作業は駒菌の方が楽で能率的ですが、オガ菌の方が菌の活着が早く初期の伸長も早いのでおすすめです。また、両方の長所を持つ成型駒「オガ菌で作った駒」もあります。成型駒の植菌には直径12.7ミリの穴明けをして下さい。
電気ドリルは1500〜3000回転位のものが使いやすく、4000回転以上の高回転型で小型軽量タイプは、トルクが不足して15ミリの植菌穴が明けられないことがあります。
直径10センチ長さ1メートルの原木の場合20〜30カ所に植菌するのが標準です。1500t入りのオガ菌1本で、直径15ミリ深さ20ミリの植菌穴なら400〜500カ所に植菌できます。作業のポイントは、穴明け後は植菌穴が乾かないうちに直ちに植菌することと、オガ菌の場合は種菌を粉にしないでなるべく塊を詰め込むということです。 |
仮伏せ |
植菌後、1〜2ヶ月程度 |
植菌直後の管理は重要です。種菌が活力を保つためには、適度な水分が必要です。また、菌糸の伸長には最低でも5度以上の温度が必要です。種菌が発菌して原木に活着するまでにしばらく日数がかかりますが、この間に種菌が活力を失うと活着不良になり、スタートから失敗してしまいます。
植菌の済んだ原木は、第一に保湿を考え、その日のうちに原木の表面が濡れる程度に軽く散水し、棒積みのままシートやこもで包みます。厳寒期に植菌した場合は暖かい場所を選び、シートを二重にするなどの保温管理も行います。ただし、温度が20度を超えると雑菌が活発になってくるので、温度の上がりすぎには注意してください。また、気温が上がってきた場合は、ムレないように被覆材を通気性のあるものに変えたり、笠木を利用すると良いでしょう。 |
本伏せ |
発生までの期間 |
本伏せは多くの場合山林を利用しますが、自家用栽培ではそんなわけにはいかないので自宅周りで適した場所を選定します。直射日光が当たらない場所を探してください。庭木があればその陰を利用します。ちらちらと日が射す程度ならかまいません。園芸資材店で売っている遮光シートを利用しても良いでしょう。
軒下は雨が当たらないので適しませんが、雨が降る度に雨が当たるように移動したり、一週間に1〜2度たっぷり散水するなどの管理をすれば栽培は可能です。通風は大切ですが、風通しが良すぎると乾燥によるホダ化不良や発生不良になります。遮光シートを防風目的に利用することもできます。 |
発生
(自然) |
植菌後、1年経過以降の春と秋 |
自然栽培用の品種の発生は春と秋だけで夏は発生しません。冬発生も可能ですが発生操作とビニールハウス等の設備が必要です。
細い原木でホダ化の良いものは植菌年の秋や翌春に自然発生がありますが、一般的には植菌翌年の秋、またはその翌春から良く発生するようになります。太い原木はホダ化が遅く発生が遅れますが、5〜6年以上も発生します。
乾きやすい時期は、芽切ったらビニールをかけておくと肥大生長しやすくなります。 |
発生
(不時) |
品種により、植菌後6〜18ヶ月経過以降の任意の時期に浸水操作により発生 |
不時栽培用の品種は生椎茸生産農家が年間を通して椎茸を栽培する目的で開発されています。特別な管理や発生操作を必要とする品種もありますが、比較的容易に自家用栽培ができる品種も存在します。当社においては370号が自家用にも利用できる周年型の品種です。
この品種は、植菌後半年で発生できる促成栽培用の品種で、季節を問わず好きな時期に発生させることができます。冬期は暖房設備が必要ですが、植菌翌年の5月頃から10月頃なら家庭でも栽培が可能です。発生操作は、発生させたい時期にドラム缶を利用して半日ほど浸水したり、散水や降雨の後にホダ木を叩いたり積み替えたりして刺激を与えるという簡単なものです。家庭でも採りたての椎茸で夏のバーベキュウが楽しめます。 |